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台風・地震シーズンを前に、「何から準備すればいいのか分からない」と感じたことはないでしょうか。台風でも地震でも、被害の規模や種類を問わず高い確率で起きるのが停電です。2018年の台風21号や2019年の台風15号では、暴風と豪雨が重なり広範囲・長期間の停電が発生しました。地震でも、設備の損傷によって同様の停電が起こりえます。災害の種類は選べませんが、「電気が止まる」という結果はどちらでも共通して起きやすいため、この記事では停電への備えに絞って解説します。
東京電力エナジーパートナーが2025年7月に行った調査では、災害時に「電気が使えないと生活に不安・支障を感じる」と答えた人は72.6%にのぼる一方、「電気の備え(ポータブル電源や蓄電池など)ができている」と答えた人はわずか20.8%にとどまりました。備えたい気持ちはあっても、何をどれだけ用意すればいいのか分からず後回しになっている方は多いはずです。
この記事では、公的機関の基準と実際に自分で測ったデータをもとに、①停電で何が一番困るか、②ポータブル電源はどれくらいの容量が必要か、③電源以外に備えておきたいもの、④マンション・賃貸ならではの注意点、の順に確認し、最後にチェックリストとしてまとめます。
停電が来たら何が一番困るか
停電時に生活の支障として挙げられた項目の1位は「冷蔵庫が使えないこと」で46.3%、次いで「冷暖房が使えないこと」20.5%、「照明器具が使えないこと」14.8%、「スマートフォンの充電ができないこと」8.3%と続きます。
特に夏場の停電では、冷蔵庫内の食品が傷むリスクと室温上昇による熱中症のリスクが同時に発生するため、冷房・保冷機能の消失は命に関わる問題になりえます。
マンションや賃貸住宅に住んでいる方が見落としがちなのが、停電と断水が同時に起きる可能性です。中高層マンションでは、水を屋上や高置水槽まで押し上げる加圧給水ポンプが電動のため、停電が起きると上水道の供給自体は生きていても、蛇口から水が出なくなることがあります。「停電は電気が止まるだけ」と考えていると、水回りの備えが手薄になりがちです。
困りごとの上位(冷蔵庫・冷暖房・照明・スマホ充電)は、いずれも電気さえ確保できれば解決できるものです。ここで役立つのがポータブル電源です。大容量のバッテリーにACコンセントやUSBポートを備え、家庭用の電化製品をそのまま動かせる機器で、ガソリン式の発電機と違って室内でも使え、給油や排気ガスの心配がありません。スマホ用のモバイルバッテリーでは対応できない、冷蔵庫や扇風機のような消費電力の大きい家電も動かせるのが特徴です。ここからは、実際にどれくらいの容量(Wh)が必要になるかを見ていきます。
ポータブル電源はどのくらいの容量が必要か
ポータブル電源のスペック表に書かれている容量(Wh)は、電池セルが持つ理論上のエネルギー量です。実際にコンセントから家電へ送るときは、直流を交流に変換するインバーターの回路ロスなどがあるため、実際に使える量は公称容量のおよそ80%が目安になります。1,000Wh級のポータブル電源であれば、実効容量は800Wh程度と見ておくのが現実的です。
必要な容量は、世帯人数と想定する停電日数から逆算できます。
| 世帯人数 | 1日分の目安 | 推奨される容量帯 | 想定できる使い方 |
|---|---|---|---|
| 1人 | 100〜150Wh | 300〜500Wh級 | スマホ充電・LEDライト・非常用ラジオの確保 |
| 2人 | 200〜300Wh | 1,000Wh級 | スマホ充電に加え、扇風機や電気毛布などの季節家電も利用可能 |
| 3〜4人 | 300〜600Wh | 1,000〜2,000Wh級以上 | 家族全員の通信確保、夜間照明 |
上記の目安は冷蔵庫を含みません。冷蔵庫を丸1日保冷し続けたい場合は、これとは別に1,000〜1,500Wh程度が必要になるため、上記の目安に冷蔵庫の分を積み増して考えるのが安全です。
容量(Wh)だけでなく、出力(W)の余裕にも注意が必要です。冷蔵庫はコンプレッサーが起動する瞬間、定格消費電力の5〜10倍にあたる電力を一瞬だけ必要とします。ポータブル電源の定格出力が家電の定格消費電力を上回っていても、この起動時のサージ(瞬間最大出力)に対応できないと、保護回路が働いて給電が止まってしまいます。容量だけでなく、サージ対応の数値も確認しておくと安心です。
実際の停電1日で何ができたか
ポータブル電源、満充電1回でどこまでできる? スマホ・モバイルバッテリー・扇風機・ケトル・食洗機で実測した
満充電1回のEcoFlow DELTA 3 Classicで、スマホ充電→モバイルバッテリー充電→扇風機→電気ケトル→食洗機の順に停電1日を再現。何%消費し、それぞれ何回分に相当するかを実測した。
以前の記事では、ポータブル電源のEcoFlow DELTA 3 Classicを満充電100%からスタートし、スマホ充電→モバイルバッテリー充電→扇風機→電気ケトル→食洗機の順に、1本の充電サイクルだけで停電1日を再現しました。結果は、スマホ充電が2%、モバイルバッテリー充電が6%、扇風機1時間が1%、電気ケトルでの湯沸かしが14%、食洗機1回が44%の消費で、すべてこなしても残量33%(推定残り14時間分)が残りました。カタログのWh表示だけでは実感しづらい「実際どれだけ持つのか」を数字で確認したい方は、あわせて読んでみてください。
電源以外に備えておきたいもの

ポータブル電源はあくまで電気の備えです。農林水産省や東京ガスのガイドラインをもとに、あわせて備えておきたいものをまとめました。
| 備蓄品 | 目安 |
|---|---|
| 簡易・携帯トイレ | 1人1日5〜7回分(3日分で15〜21個) |
| 飲料水 | 1人1日3リットル(3日分で9リットル、推奨される7日分では21リットル) |
| 単3形乾電池 | 1人あたり17本以上(3日分、懐中電灯や防災ラジオ用) |
| カセットコンロ用ガスボンベ | 1人1日1本が目安 |
中でも簡易・携帯トイレは、停電時に断水も同時に起きる可能性があるため、電源以上に優先度が高い品目です。
実際に熊本地震でも、断水が長期化したことでトイレが使えず、避難所での生活に支障をきたした事例が報告されています。停電時に断水も同時に起きる可能性があることを踏まえ、簡易・携帯トイレは必ず備えておくようにしましょう。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD311KR0R30C26A7000000/
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マンション・賃貸ならではの注意点
一戸建て向けの防災情報はよく見かけますが、集合住宅ならではの制約に触れている記事は多くありません。
まず、先述の通り停電時は断水も同時に起きる可能性があるため、簡易トイレと飲料水の備えは電源以上に優先度が高いと考えておいた方が安全です。
次に、太陽光パネルを併用した長期停電対策を勧める記事もよく見かけますが、マンションのベランダは建築基準法上・管理規約上「共用部分」にあたることが多く、設置には制約があります。手すりへの固定が禁止されていたり、そもそも管理規約で工作物の設置自体が制限されていたりするため、検討する場合は事前に管理規約を確認してください。
最後に、ポータブル電源をコンセントに挿しっぱなしにする「パススルー」運用は便利ですが、常時通電はバッテリーの劣化を早める要因になりえます。日常の予備電源としてではなく、あくまで停電時に使う緊急用の電源として運用し、平常時は満充電状態で保管しておくのが基本です。
まとめ:今日からできる防災チェックリスト
- 世帯人数・想定日数に合ったポータブル電源を確保する
- モバイルバッテリーを満充電で常備する
- 単3形乾電池・LEDライト・防災ラジオを揃える
- 飲料水を1人1日3リットルで計算し、最低3日分を確保する
- 簡易・携帯トイレを1人1日5〜7回分×日数分用意する
- カセットコンロとガスボンベを用意する
- マンション・賃貸の場合は断水リスクと管理規約を確認する
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